純愛♡ごっこ
他愛ない会話を交わしながら、坂の中腹まで来た時、突然、陸は
「あッッ!」
と、大きな声を上げた。
「なに?!」
驚いたあたしは、彼を見上げた。
「ユーナさん。オレ、ここからひとりで行くし。てか、気付くの遅すぎ?」
「うん♪いつゆーてくれるか待ってたし。なんて、ジョーダンやけど♪」
「ごめん!でも、あざっす!」
大袈裟に頭を下げる陸に、あたしは微笑んだ。
痛む頬は、引きつった笑顔を作った。
「どぉいたまして♪でも、大遅刻やね。ダイジョウブ?」
授業が始まるのか終わるのか、チャイムの音が響いていた。