純愛♡ごっこ
 

一瞬、シンと目が合った。

不機嫌な彼は、更に機嫌の悪そうな表情を見せた。


耳元で


「ダイジョウブか?」


恭介が心配そうな声で訊いたけど、その問い掛けが何を指すのか分からない。

あたしは、訊き返した。


「なにが?」


「顔や。マミから聞いた。」


その返答で理解した。



─ マミのベシャリ‥



彼女の軽口を煩わしく感じながら、明るく答える。


「あー、うん。全ッ然、平気♪ゆーてる間に治るわ。」


「オトコやろ?ユーナ、シバかれたんちゃうんか?」


「違うし。頭から落ちてん。器用やろ♪」


コソコソ話せば、シンに怪しまれる。

トラブルを避けるため、あたしはワザと明るい声で会話を続けた。


 
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