純愛♡ごっこ
 

裸足では遠くに行けない。

そう考えたから、放り出したんだろう。


だけど、思い通りになんかならない。

反抗的なキモチになって、あたしはエレベーターで一階に降り、マンションの外に出た。


財布もケータイも無い。

とても心許ない。


それでも、シンの算段に乗る気なんて、これっぽっちも無かった。


きっと、この気の強い性格は母親似だ。

認めたくは無いけど‥。


シンが気付いて追い掛けて来る前にと、真冬の夜の歩道を走った。


冷たい風に、耳がジンジンしたけど‥。

濡れた服は冷たかったけど‥。


ココロがピリピリ痛んだけど‥。


横暴な彼の元に、帰りたくなんか無かった。


あたしは、闇雲に走り続けた。


 
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