純愛♡ごっこ
 

彼らが部屋を出た途端、奈月は泣き出した。

ポロポロと涙を零して、俯いていた。


「奈月‥。どしたん?」


「‥‥。」


首を横に振り、何も答えない奈月。

あたしは、陸に視線を遣った。


陸は、無言で頷いた。

そして


「明日もガッコやから、オレ、帰ろかナ。」


と、立ち上がった。


「うん。またね。」


「え?また、逢えんの?」


「逢えない♪」


「そか♪また逢えるし、楽しみ増えたナ。じゃ、オヤスミナサイ。」


「うん。逢えないけどオヤスミ♪」


陸は軽く手を振って、玄関に向かった。


カチャッとドアの締まる音が、ちょっぴり寂しく響いていた。


 
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