純愛♡ごっこ
思い出したくないことを、無理に思い返す必要は無い。
あたしは、事情を深くは訊かなかった。
ただ、
「あたしも、一緒やねん‥。」
とだけ告げた。
奈月は驚いた顔をしたけど、少し安心したみたいだった。
「奈月、帰らんくて平気?」
「ユーナをひとりに出来へんやん。タツキが変な気ィ起こしたら困るもん。」
笑顔を取り戻した奈月が悪戯な笑みを見せる。
「もしかして、奈月ってタッキーすきなん?」
「うん♪でも、リックン、カッコイかったね。惚れそ♪」
一瞬、あたしは言葉に詰まった。