純愛♡ごっこ
「リクに何が分かるん?あたしは、お説教なんかされたくない!」
「説教なんかじゃないし。オレはユーナが心配なん。それだけ。」
「心配なんかしなくてイイ!リクなんか嫌い!大ッッ嫌い!」
「ユーナ!待てよ!」
呼び止める声を無視して、改札口を通り抜けた。
丁度、ホームに停まった電車の乗降口のドアが開き、乗客がパラパラ降りて来た。
─ あれ?
俯きがちに降りて来る奈月に気付いて、咄嗟に声を掛けた。
「奈月!バイトは?」
振り向いた奈月は、泣き腫らした目で悲しく微笑んで
「早退してん‥。」
と、震える声で答えた。