純愛♡ごっこ
 

アパートのドアをそっと開け、中に入った。


「ハニャ?お早いお帰りで。」


寝かかっていたらしいタッキーが、その物音で目を覚ましたようだった。

あたしと奈月は、タッキーの部屋に舞い戻って来たんだ。


先に戻っていた陸と目が合い、ちょっぴり気まずい思いをしたけど‥。

陸は、何事も無かったかのように、彼特有の笑顔を見せた。



─ なんかムカつく‥



「どしたん?」


寝ぼけ眼で、タッキーが訊く。


「ん‥。ちょっとね。」


あたしは、返事を濁した。


そして、テーブルを囲んで四人で座り、奈月の話に耳を傾けた。


「あたし‥、悔しい‥。」


呟いて、奈月はポロポロと涙を零した。


 
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