純愛♡ごっこ
カット台の椅子に座った彼と鏡越しに目を合わせて、先生が不思議そうな顔をした。
「あれ?もしかして、陸くん?水森さんとこの?」
「あ、はい。お久しぶりです。」
照れ笑いする彼の唇の右端が軽く上がるのが、とても印象的で‥。
「まぁー!おっきくなったねぇ。何年生?お母さんは、たまにいらっしゃるのよ。1年生って言ってたかなぁ。」
先生は満面の笑みを浮かべ、とても懐かしそうな顔をした。
「はい。来月で16です。」
「あっらぁ、うちに最後に来たのって、まだ小学生だったんじゃ無い?もう、そんなになるのねぇ。私も歳を取るワケねぇ。」
鏡に映る彼は、また軽く唇の右端を上げて、照れくさそうに微笑んだ。
そして
「中学は、野球やってて坊主でしたから。」
と、答えた。