純愛♡ごっこ
 

ブレーキを掛け、自転車を停めた。


「リクくん‥やんね?」


暗くなった舗道で探し物でもしているのか、キョロキョロと当たりを見回す彼に、あたしは声を掛けた。


「あ‥、さっきの‥。ユーナ‥さん?」


驚いた表情で、彼は、あたしを見ている。


「どしたん?なんか探してる?」


自転車を跨いだまま、あたしは尋ねた。


「ケータイ、転がってったんすよね。この辺で音がしたんっすけど‥。」


答えると、彼は植え込みの中を覗いた。


「あたしがケータイ鳴らしたげるわ。」


「マジっすか?助かります!」


差し出したケータイに彼のケー番を入力して貰い、あたしは発信キーを押した。


 
< 26 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop