純愛♡ごっこ
ブレーキを掛け、自転車を停めた。
「リクくん‥やんね?」
暗くなった舗道で探し物でもしているのか、キョロキョロと当たりを見回す彼に、あたしは声を掛けた。
「あ‥、さっきの‥。ユーナ‥さん?」
驚いた表情で、彼は、あたしを見ている。
「どしたん?なんか探してる?」
自転車を跨いだまま、あたしは尋ねた。
「ケータイ、転がってったんすよね。この辺で音がしたんっすけど‥。」
答えると、彼は植え込みの中を覗いた。
「あたしがケータイ鳴らしたげるわ。」
「マジっすか?助かります!」
差し出したケータイに彼のケー番を入力して貰い、あたしは発信キーを押した。