純愛♡ごっこ
植え込みの端っこから、シンプルな着信音が聴こえた。
彼は、そこから真っ黒なケータイを取り出して
「あざっす♪」
と、嬉しそうに微笑んだ。
「黒いから、見えへんかったんかな?」
「たぶん。」
「あっ‥。今、何分?」
「25分っす。」
「ヤバッ!あたし、今からデートやねん。じゃね♪」
「あ、ハイ。」
急がなきゃ、間に合わなくなる。
あたしは、またペダルをこぐ足に力を入れた。
─ 陸くんか‥
可愛いやん♪