純愛♡ごっこ
あたし達は、六甲山に向かった。
ただでさえ揺れる改造車の中で、山道の急なカーブに車酔いしそうになる。
小一時間ほどの道のりで、あたしとシンは、色んな話をした。
彼が三人兄弟の真ん中で、親から構って貰えなかったこと。
仕事は、トラックの運転手をしていること。
元カノと別れて間が無いこと。
そんなことを、敢えて重たくないように、面白可笑しく話してくれた。
あたしは、両親がいないこと。
仕事のこと。
それから、慧に裏切られてショックだったことなんかを、やっぱり笑い話のように話した。
山頂の展望台に着く頃には、あたしは軽く車酔いをしていて、車から降りると、外の新鮮な空気を胸一杯に吸い込んだ。