純愛♡ごっこ
7月。
おなかの赤ちゃんが元気に動く胎動を感じることだけが、憂鬱なあたしをシアワセなキモチにしてくれた。
「早く産まれて来てな。ばぶちゃん♪」
話し掛けながら、毎日、何度もおなかを撫でた。
ある日の夜、兼ねてから考えていたことをシンに相談した。
「ね、あたし、今のうちに教習所行きたいねん♪赤ちゃん生まれたら当分は行けへんくなるし。イイ?」
教習所くらい通わせてくれるはず。
そう思っていたんだ。
なのに、彼の返事は
「あかん。車なんか運転出来んでもえーやろ!」
あたしをガッカリさせるものだった。
「なんで?赤ちゃん生まれたら検診とかあるし、真冬にベビーカーは可哀想やん。」
「そんなことゆーて、オマエ、俺から逃げること考えてるやろ!」
シンは疑り深い目で、あたしを睨んだ。