純愛♡ごっこ
「きッッれー!!」
眼下に広がる神戸の夜景を眺め、あたしは感嘆の声を上げる。
色とりどりの光は、黒い箱の中に宝石を散りばめたよう。
艶やかに輝いている。
─ ねぇ、綺麗やね‥
「ん?なんて?」
無意識に呟いていた独り言が聞こえたらしく、シンが振り向いた。
「え?あ、綺麗やなって。」
「六甲は、今までに来たことあるんか?」
「うん。何回か。」
「オトコと?」
「あー、まァそんなカンジ?」
「ふーん‥。」
シンのちょっぴり落胆したような声を聞いて
「でも、今日の夜景が一番綺麗やで♪」
あたしは彼を見上げ、ニッコリ微笑んだ。