純愛♡ごっこ
 

8月下旬。

シンと出会って、一年が経った。


その日、珍しく彼はあたしを誘った。


「花火大会行こか?」


「ほんまに?てか、花火大会て、去年の夏、ケイに騙されたこと思い出すねんけど‥。」


あたしが膨れっ面になると、シンは笑った。



河川敷で行われる花火大会の為、道路は交通規制されている。

あたし達は歩いて、暗くなった歩道を河川敷まで向かった。



  ヒュ~

  パーンッ



瑠璃色の夜空に大輪の花が咲き乱れ、パラパラと散って行く。


いくつも、いくつも‥。

美しい花火が打ち上がる。


「綺麗やね。」


「そやな。てか、腹減ったわ。たこ焼き買おか?」


「うん♪」


ひしめき合う人混みの中、あたし達は、軒並み並ぶテキ屋へと向かった。


 
< 301 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop