純愛♡ごっこ
8月下旬。
シンと出会って、一年が経った。
その日、珍しく彼はあたしを誘った。
「花火大会行こか?」
「ほんまに?てか、花火大会て、去年の夏、ケイに騙されたこと思い出すねんけど‥。」
あたしが膨れっ面になると、シンは笑った。
河川敷で行われる花火大会の為、道路は交通規制されている。
あたし達は歩いて、暗くなった歩道を河川敷まで向かった。
ヒュ~
パーンッ
瑠璃色の夜空に大輪の花が咲き乱れ、パラパラと散って行く。
いくつも、いくつも‥。
美しい花火が打ち上がる。
「綺麗やね。」
「そやな。てか、腹減ったわ。たこ焼き買おか?」
「うん♪」
ひしめき合う人混みの中、あたし達は、軒並み並ぶテキ屋へと向かった。