純愛♡ごっこ
 

「どんな意味?」


涙を拭いて、彼に訊いた。


「考えてみて♪」


陸は、優しい笑みを見せた。


「分からんし‥。」


眉をしかめるあたしの瞳に、陸の真剣な表情が映る。

少しの間を置いて、彼は口を開いた。


「別れろよ。ソイツと。」


「え?」


「なんで、そんなヤツと、いつまでも一緒にいんの?」


「だって‥。」


なんだか、急に自分が陸より年下になってしまったように感じた。

あたしは俯いた。


「“だって‥”じゃない。酷いことばっかされてんじゃん。もぉ別れろよ。」


「無理やもん‥。」


俯いたまま、あたしは答えた。


 
< 312 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop