純愛♡ごっこ
 

「ッッんじゃ、こるあぁ!!」


やっとの思いで怒鳴ったのか、シンの声は裏返っていた。


怒りに震える彼の横をすり抜け、寝室に戻り、あたしは眠っている空羅を抱き上げた。


そして、財布とケータイだけをバッグに押し込んで部屋を出た。


「ユーナがアンタのオンナやったら、もっと大切にするべきやったよナ。人のココロの痛み、分かれよ。」


陸は靴を脱ぎ、シンの横を通ってあたしの傍に来た。

シンは、石になってしまったかのように動かなかった。


「ユーナはアンタを信じようとガンバってた。ツラいのに、必死でシアワセなフリしてたし‥。ンなこと、気付いてないよナ?」


陸は、シンにそう言って


「ユーナ、おいで。」


あたしの手を取った。


「離婚届、郵送する‥。」


情けない顔で立ち尽くすシンにそう告げて、あたしは靴を履いた。


 
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