純愛♡ごっこ
路肩に停めた車から、あたしと陸は降りた。
「タッキー、ありがとぉ。」
「先輩、あざっす♪」
「カラダで返してや、リクちゃん♪なんてな。てか、“なんてな”て“アンテナ”と似てね?」
「先輩、寒いッすよ‥。」
「なんでや、リク。風邪ヒいたんちゃうか?」
「とことんボケますよね‥。」
二人の会話に笑って、あたしはタッキーに手を振った。
片手で抱っこしている空羅は、空腹感が増したのか、必死でオシャブリを吸っている。
タッキーの車が見えなくなり、あたしは辺りを見回した。
─ ここ、どこ?
「ユーナ、行こ♪」
目の前に建っているのは、白い壁のマンション。
そのマンションの入り口に向かって、陸は歩き出した。