純愛♡ごっこ
 

路肩に停めた車から、あたしと陸は降りた。


「タッキー、ありがとぉ。」


「先輩、あざっす♪」


「カラダで返してや、リクちゃん♪なんてな。てか、“なんてな”て“アンテナ”と似てね?」


「先輩、寒いッすよ‥。」


「なんでや、リク。風邪ヒいたんちゃうか?」


「とことんボケますよね‥。」


二人の会話に笑って、あたしはタッキーに手を振った。


片手で抱っこしている空羅は、空腹感が増したのか、必死でオシャブリを吸っている。


タッキーの車が見えなくなり、あたしは辺りを見回した。



─ ここ、どこ?



「ユーナ、行こ♪」


目の前に建っているのは、白い壁のマンション。

そのマンションの入り口に向かって、陸は歩き出した。


 
< 394 / 666 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop