純愛♡ごっこ
chapter.16 梅雨空
翌日は雨で、関西地方が梅雨入りしたことを天気予報が告げていた。
早朝に帰った陸は、あたしが目覚めた時には居なくて、波琉さんも仕事に行ったあとだった。
「ユーナちゃん、十時に迎えが来るよ。」
雨だと赤ちゃんを連れて移動するのが大変だからと、まりんさんは空羅を見ていると言ってくれた。
あたしは住居を探す為、出掛ける準備をした。
鏡に映る顔は、腫れが幾分か引いていて、胸の痛みも昨日ほどでは無くなっていた。
── ピンポーン♪
「あ、来たみたいやね。」
インターホンのチャイムが家の中に響き、まりんさんは玄関へと急いだ。