純愛♡ごっこ
 

化粧品や衣類、それから、空羅のオモチャとベビーカーを車に積み込み、あたしはシンに電話を掛けた。


離婚届を郵送すると家を出る時にシンに告げたけど、彼がそれを役所に提出してくれるかどうかが不安になったんだ。


「離婚届、どうする?」


電話に出たシンに訊いた。


「知るか。」


そう、一言だけ返事をして、シンは押し黙っていた。


「一応テーブルに置いてるから、サインしといて。あたし、また取りに来るし。」


「いつや?」


「分からん‥。」


「分かった‥。今日、帰ったら書いとくわ。でも、ソラの養育費のこともあるし、一回は会えよ?」


覇気のないシンの声が悲しく耳に響いていた。


 
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