純愛♡ごっこ
 

やつれた風体のシンが、ゆっくりと廊下に姿を現した。


そして


「これやろ?」


情けない顔で、離婚届を差し出した。


あたしは、それを受け取って、開いたドアを片手で押さえたまま、


「ありがと‥、じゃ。」


と、後ずさるようにして玄関を出た。


「夕凪‥。」


シンは、あたしを呼び止めた。


「やり直そ。俺、頑張るから‥。」


あたしは、彼を見つめた。


「頼むわ。戻って来てくれ。ソラのことも、絶対に可愛がる。約束する。」



誰にだって、チャンスは必要‥

ホントにココロを入れ替えたなら、彼にだって‥



あたしのキモチは、揺れた。


 
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