純愛♡ごっこ
 

その日の夕方、たまたま近くまで来たからと、マミと恭介が訪れた。

二人は、あたしを見るなり絶句した。


「いらっしゃい♪」



彼らの視線を右目に感じながら、あたしはニッコリ微笑んだ。


「ユーナ、目ぇ、どしたん?」


驚きを隠せない声で、マミが訊く。

あたしは、公園で野球ボールが飛んで来たと説明し、何でもないフリを装って、明るく振る舞って見せた。


「マジ、痛かったし~!」


だけど‥。


「嘘やろ、ユーナ。それ、オトコにやられたんやろ?」


恭介は、眉間に縦皺を寄せた。


「まさか!そんなことされるワケ無いやん♪」


お説教なんて、まっぴらごめん。


あたしは、嘘をついた。


 
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