純愛♡ごっこ
 

「じゃ、リク。また新学期に。」


「ん、またナ♪」


陸達の会話が終わり、あたしは涙が潤んだ瞳で振り返った。

楽しそうに肩を揺らして歩いて行く、彼女達の後ろ姿が見える。


ふと、振り返った彼女達は、こちらに向けて手を振ると


「「オシアワセに~!」」


って、大きな声で叫んだ。


人だかりの中に消えた彼女達の


 “オシアワセに”


その一言が花火の音より大きく、あたしの胸に響いていた。



─ ありがとぉ‥



夏の終わりを告げる夜風が、ひんやりと髪を結わえたうなじを撫でた。


 
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