純愛♡ごっこ
翌日、曇り空の下、陸と一緒に向かった先は霊園。
沢山の墓石が立ち並ぶ中、路面に敷かれた砂利の上を歩く。
両親が他界して約10年。
ここに来るのは、中1の頃、叔母に無理矢理に連れて来られて以来、二度目だった。
墓石に嵌め込まれた花瓶には、枯れた花。
あたしは、その花を捨て、花瓶に新鮮な水を汲んで、買って来た仏花を差した。
ミンミンと五月蝿く蝉が鳴いている。
まるで、夏の終わりを嘆くように‥。
あたしは墓石の前にしゃがみ、軽く両手を合わせた。
傍らで、陸が空羅を抱いて、あたしを見つめていた。