純愛♡ごっこ
 

黙ったままのあたしの手に、陸がそっと触れる。

あたしの涙が彼の手の甲を濡らした。


「どんなことがあっても、二人でガンバって乗り切ろ。それが愛じゃん♪」



─ それが愛‥



「でも、あたしといたら、リクの夢が‥。リク、大学入ってスポーツ記者になりたいってゆーてたやん‥。」


「言ったよナ?それは、二番目やって。一番は、ユーナと一緒にいること。てか、そーゆのってキモい?」


「キモくない‥。て、ほんまに?ほんまにそぉなん?」


「モチ♪そのために、オレ、毎日バイトしてンやから。ユーナがいるからガンバれる。それにソラもナ♪」


陸は、あたしの涙を指で拭った。


そして


「余計な心配とかすんなよ。ユーナがいなくなることが、オレを不幸にするって、ちゃんと覚えときなさい。」


って、あたしの頭を、彼の胸に寄せた。


 
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