純愛♡ごっこ
高校二年の秋だった。
「もぉ帰ろか?」
午後10時を示す公園の時計台を見て、恭介が訊いた。
「イヤや。帰りたくないもん。」
「またか?」
ジャングルジムのてっぺんから、星空を仰ぐあたしの頬に、涙が伝う。
誰にも言えない秘密を隠し持つことが、時々、無性に苦しくて、蒼い夜空に吸い込まれてしまいたくなる。
あたしは、なんで生きてるんだろ?
なんで、死ねないんだろ‥
なんで、こんなに苦しまなきゃいけないんだろ‥
なんで?
涙で滲む星の光は、ただ妖しげに輝き続けるだけ。
何も答えてくれない夜空は、あたしに、恐怖感を蘇らせるだけだった。