純愛♡ごっこ
サンタクロースの衣装を身にまとった陸が、ピカピカの赤いTボードを器用に操る。
風と一体化した彼が滑らかに、そして、激しくボードを揺らす。
イヴだと言うのに駅前広場にはチームのメンバーも数人来ていて、ギャラリーも集まっていた。
どこからか、クリスマスソングが流れている。
それに合わせているかのように、陸はリズミカルに滑走する。
─ やっぱ、カッコイ‥
冷たい夜風も気にならない程、あたしは彼を夢中で見ていた。
「リク!新品、見せてや♪」
陸に呼び出された斗輝くんが、少し遅れてやって来た。
ボードにブレーキを掛けた陸がニッコリ笑った。
少年のような無邪気な表情で、自慢気にボードを見せた後、陸は、また風を切って、ボードを路面に滑らせた。