純愛♡ごっこ
 

その夜、あたしと恭介は、結局、朝まで一緒で、公園の大きな土管の中で眠った。


冷たい夜気が入り込んで来るその中で、恭介の体温を感じながら寄り添って眠った。


すきだと告白されたら、そこから友達関係が少しずつ崩れて行く‥。

そんな気がした。



「ユーナ、起きろよ。」


「ん?何時?」


「五時半。一回、家に帰ろ。」


恭介の声で目覚め、二人で肌寒い朝の空気の中を、手を繋いで歩いた。


「朝パンしよ♪」


途中、通り掛かった小さな商店で、店の裏口に積んでいた四角いパンのケースから、あたし達は慣れた手つきでパンを盗んだ。


自販機でジュースを買い、食べながら歩く。


友達でも恋人でも無い微妙な関係は、この時から始まった。


 
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