純愛♡ごっこ
「なんッか、久しぶりに外の空気吸ったカンジ♪」
奈月が運転する軽自動車の助手席で、あたしは高揚するキモチを抑え切れない。
「ほんまにソクバッキーやねんなぁ‥。ユーナのダンナ。」
「うん。めちゃ息詰まる。あたし、今月21になるのに、まるきり自由が無いねんな。まるで子供扱いやもん。」
奈月とは短大の頃、バイト先で知り合った。
恭介やマミには言えない愚痴も、何故か奈月には言える。
「そっかぁ。ま、今から羽伸ばして、ストレス発散させたらイイやん♪」
奈月は、あたしに対して説教じみたことを言わない。
だから、本音を言えるのかもしれない。
癒し系‥なのかな?
これから始まる数時間の自由に、あたしは胸躍らせていた。