純愛♡ごっこ
これで、今すぐ帰って来ても、少しは時間が稼げる。
大慌てでバスルームに入り、メイクを落として、店内のタバコの匂いの染み付いた髪を洗う。
冷え切った体を震わせて、熱めのシャワーで温めた。
─ まだ帰って来ませんように!
念じながら、バスタオルを巻いた姿で、ケータイをチェックする。
シンからの連絡は、届いていなかった。
直ぐさま、着ていた派手目の服や、使ったバッグをクローゼットに押し込んだ。
「証拠隠滅!」
し忘れたことが無いか入念にチェックした後、あたしはパジャマに着替え、濡れた髪をドライヤーで乾かした。
そして、玄関ドアのチェーンロックだけを外し、ベッドに潜った。