運命の、その場所で
「…は?」
私は、二人を冷たい目で見るしかできなかった。
「仕方ないよ、初めて会ったおじさんだもんね?
ユキちゃん、僕は結婚って形にはこだわらないから…
ユキちゃんが嫌なら、別に今のままでも」
ゆっくりした口調で話す男の言葉に、ママはかき消すように言い出した
「だーめよ!もうすぐ赤ちゃんが生まれるのに!
ユキは、お姉ちゃんになるのよ~」
自分のなかに衝撃が走った
「え?」
「今日ね、仕事なんて嘘で…パパと産婦人科行ってきたの~。
そしたら、妊娠してるって!」
喜ぶママの顔が、気持ちをイラつかせた。
「認めないから!」
「ユキ?」
部屋いっぱいに、隣の家にも聞こえるんじゃないかってくらいの大きさの声で私は叫んだ
「そんな人パパだなんて認めないし、そのお腹にいる子だって…妹だなんて認めない!」
―ペシ!
叫び終わると、ママは私のほっぺを引っ叩いた