運命の、その場所で
卒業式
2月…
まだ少し寒い季節のなか、私は喜びに満ちていた。
「受かった!受かった~。」
横にはナチとヒカル…
合格発表の掲示板の前で私はナチに抱きついた。
「さすが俺の親友!」
「やった~!」
「俺も合格してるけどな…」
ヒカルはいたって冷静…
「当たり前だろ~、ヒカルも俺の親友なんだから!」
ナチはなにかと言って『俺の』とつけたがる。
「違うって、実力!」
ヒカルはナチを怒らせるようにそう言って、鼻で笑ってる。
「お前な~!」
ふたりの喧嘩にはさまれながら、私は笑った。
こうやって、いつまでもずっと笑いながら3人で過ごせればいいなって思うのに…
春からのキャンパスにナチはいないんだね。
この広い敷地の中で、もう今までみたいに授業をサボったりバカして騒いだりできないんだね…
ナチは結局、何もしないままで卒業を迎える。
ヒカルも、私も…そのことについては何も言わなかった。
言っちゃいけない気がして言えなかった。