愛しい雪




それから僕達は高校生になった。
「さとちゃん!」
「その名前で呼ぶのやめろって・・・。」
呆れる様に僕が言う。
「だって、今まで・・・」
「もう高校生だろ。」
そう 言い切った時の雪の顔は悲しそうだった。
「そう・・・さとし。」
最後に そう呟いた。
僕は 不覚にもドキッとした。
小学生から今までずっと好きなんだ。
雪は分からない。
雪は僕を見てくれているの?
雪の目に僕は写ってる?
季節は巡り 冬が来た。
僕はまた 座り込み
積もっていく雪を無表情で見る。
「さとしー!」
雪が走ってやってくる。
「風邪ひくよ?」
雪が僕の頭の雪を掃う。
「雪・・・。」
僕は雪の腕を掴み目を見る。
「な、何?」
僕は雪を見て口を開いた。
「好きだ。」
しっかり 声が心に届くように。
大きな声で。
「さとちゃ・・・・。」
雪は 黙った。
切ない目を見せ 僕に頭を下げた。
「ごめん。」



これで 僕の長い恋は終わった。
雪は足早にその場を立ち去った。
僕は目からこぼれた涙を雪の上に落とし雪は少し溶けた。


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