スノーマン*☆セレナーデ
「そろそろお別れの時がきたようです。
いや、悲しむには及びませんよ。
わたしは雪。
たとえこの身が溶けて無くなろうとも、巡り巡ってまた雪となってこの地上に舞い降り、何度でも生まれ変わることができるのですから」
日の光を浴びて、彼の身体は少しずつ溶け始めた。
「スノーマン?」
「けれど、あなたがた人間は、この世に生をうけた今を、悔いなく全うしなければなりません。
何があろうと、それでも地球は回っているのですから。
マフラーをありがとう。
でも、これは本当の持ち主にお返しください……」
照りつける、眩しいほどの朝日が、スノーマンの身体を溶かしていく。
見る見るうちに彼の身体は溶けて無くなり、あたしの手に、真っ赤なマフラーがヒラリと落ちた。