スノーマン*☆セレナーデ
大学受験を控えた月人君の勉強の邪魔をしたらいけないと、理性があたしを踏みとどまらせていた。
携帯小説書いても、一番の読者である彼に読んで貰えないとなると筆も進まず。
慣れない手仕事で気を紛らわそうと、クリスマスプレゼントに手編みのマフラーを選ぶあたり、もうかなりきていたのかもしれないな……
ほどいては編み、編んではほどき。
やっと慣れて針がスムーズに進むようになると、その余裕から想い出されるのは彼との楽しい思い出ばかりで……
一針一針想いを込めるって、こういうことなのかなぁ……、なんて。
「だいたい、順がマフラーなんて編むからよ。
あたしも、三段くらいは手伝ったけどさ。
なんならあたしが行って、そのマフラーで首根っこひっ捕まえて連れてこようか?」
桃ちゃんは、あたしがマフラーを編みながら溜息ついて、どんどん落ち込んでいく様子を間近で見ていたが故、月人攻撃の手を緩めない。
「って、桃ちゃん、ちょっと落ち着いて」
今にも教室を飛び出して行きそうな、桃ちゃんの勢いに思わず制服の裾を掴んで引き留めた。