My life without meaning
「裕太 危ないでしょ……。」

「いいの。俺はずっとナツとこうしたかったの。」

甘えた声で言う。

「わかってるけど、せかさないで。」

「うん。ごめんね……。」

叱られた子どものようにおとなしくソファに座りこむ。内心

(やっぱりまだ子どもよね)と思いつつティーポットにお湯を注いだ。


 彼がこんな昼間からここにいるのは、定時制の高校に通っているから。
中学時代に些細なことがきっかけで不登校になり、長い間苦しんでいた。その苦しみを「怠慢」「さぼり」という言葉で片付け頭ごなしに「学校に行け!」という父親との確執がひどく、間に挟まれた美紀さんを少しでも助けることができたらという思いで、時々家に呼んでは英語の勉強を見たり、たわいもない話をするようになった。
 

 カップをテーブルに置き、わざと裕太と向かい合うように座る。

…形だけの抵抗…

「ナツ、座るのはそっちじゃないでしょ?こっち来て。」

 いつの間にか、私の身長を追い越した裕太が上目遣いで言う。

 私は、仕方ないわね……というフリで隣に座る。


 甘い時間を期待しながら……。
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