My life without meaning
 約束の時間を少し過ぎて裕太が家にやってきた。
私はつとめていつものように振る舞い家に招き入れる。

 お茶を用意するためにキッチンへ立ち、やかんを見つめながら言葉をさがす。

「ナツさん?」
「ん?」
「こっち来てくれないの?」
「お茶入れるからちょっと待って。」
「お茶いらないよ。」
「裕太がいらなくても私がいるの。」
「うん・・・・・・。」

 私はリビングへ2人分のハーブティーを運ぶ。なにを話していいのかわからず、黙ったままカップに口をつけた。

 裕太は何か言いたそうな顔でこっちをみている。

「あの・・・・・・。」
「うん。」
「オレ、ナツさんのこと好き。」
「・・・・・・。」
「気がついたらさ、ナツさんと話してるときが一番楽しいんだ。すごく居心地がいいし。」
「うん。」
「ずっとナツさんといたいんだ・・・・・・。ホントはこういうのいけないってわかってるんだけど。」

 ゆっくりと、でも気持ちをこめて届く裕太の言葉。

私の中で色々なキモチが動き回る。たとえ人妻であったとしても、誰かに思いを寄せてもらい、その思いを告げられる喜び、年の離れた男の子がその相手という小さな不安、友人の息子であるという罪悪感。

 寝不足のせいか、必要以上にめまいがする。
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