My life without meaning
とりあえず自分の意思をはっきりさせなくては。

「裕太のことは、美紀さんの息子としてしか見れないよ。それに私には大切な家族がいるからね。」
「オレがどんなに成長してもムリ?」
「成長していく間に素敵な彼女ができるって。」
「オレはナツさんがいいの。」

 裕太の手が勢いあまってカップにあたる。テーブルの上にこぼれたお茶を拭くために立ち上がってテーブルに手を伸ばしたそのとき、裕太の手が重なった。

「ちょっと・・・・・・拭けないでしょ?手どけて?」
「ナツさん、オレのこと・・・・・・ちゃんと見てよ!」
「見てるよ。だから手離して。」
「ムリ、離したくないもん。」
「裕太、だめだよ。こういうことするなら、普通に会えなくなる。」
「ごめんね・・・・・・ナツさん。」
「・・・・・・。」

裕太は下を向いたまま黙っている。その姿がとても小さく見えて切なくなった。
「裕太?お茶入れなおしたから飲んで。」
「・・・・・・。」

無言のままの裕太を見つめると、静かに泣いていた。
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