【短編】幼馴染みな僕らだから
ふと麻耶が智輝の方をむいてきた。
視線が合う瞬間に智輝は視線を逸らす。
……何やってんだろ俺。
これじゃあ、絶対怪しまれただろ。
そう思って直ぐに視線を麻耶に戻す。
案の定、いぶかしげな顔で智輝を見ている麻耶がいた。
数秒間、麻耶と見つめあった後、今度は麻耶から視線を逸らした。
……何だよ。
言いたいことあんなら言えよ。
そう思うが、言えるはずもなく、智輝はゆっくり席を立つ。
「どうした?」
席を立った智輝に友達が不思議そうに問い掛ける。
「屋上行ってくるわ」
「もうすぐ授業始まるぞ?」
「良い、サボり」
そう言い、もう一度、麻耶を見る。
麻耶は今度は男も交えて話していた。
とても、楽しそうに……。
「サボりっておいっ」
すかさず突っ込む友達をスルーし、智輝は肩越しに手を振り教室を後にした。
ドアを閉める音がヤケに胸に響いた気がした。