【短編】幼馴染みな僕らだから
長い──長い沈黙が続く。
風に乗って穏やかに雲が空を游いでいく。
それは留まる事を知らない──想いのように。
智輝は雲から視線を麻耶に移す。麻耶の茶色い髪が風に靡いて揺れる。
言いたいことは沢山あった。でも、それをどう表現していいか、どう切り出せば良いかわからない。
……──でも、言わなければ何も伝わらない。
ならば今がチャンスでは無いのだろうか?
「ねぇ、智輝」
智輝が意を決して口を開こうとした瞬間、先に声を出したのは麻耶の方だった。