何度でも言おう、君が好きだと。
唐突の事でびっくりして急ブレーキを踏みそうになった。
「ちょ、ネイルスクールってなんだよ。家事は?育児は?」
「するに決まってるじゃん。滝はいちいち大げさだな~」
大げさでもなんでもない。
「私働くの無理だからさ、芸能界入るわ」
そうハルが言ったのは俺たちが高校2年の頃。
「ほら私、身長低いけど胸でっかいじゃん。
だからさ、グラビアだったらロリ系でイケると思うんだよね。
うち貧乏だし、一攫千金狙うにはこれしかないと思って!」
超いい事ひらめいた!
という感じでハルは言っていたが、バカだとしか思えなかった。
「お前が売れるんだったら世の中の女全員有名になれるわ」
「なんだと!もう一回言ってみろバカ滝のバカ!」
俺が言った通りハルはパッとしないまま芸能界を去った。
「私働くの無理だからさ、子供仕込んだ」
そうハルが言ったのは俺たちが22の頃。
「お前…働くのが無理だからって作るもんじゃないだろ子供は」
「いいの、ハル子供欲しかったし、結婚したかったし」
「そんな理由で本当に今の彼氏と結婚していいわけ?」
「いいの、彼はハルの周りの男の中で一番「条件がいい」んだから」
自分の人生を賭けてまで働く事を拒否してきたハルが
学校に行って勉強をすると言っているんだ。