何度でも言おう、君が好きだと。

「滝、今日はハル号で行こう!」

と言いながら、ハルが乗ってきた黒い軽自動車のドアを開けた。


「狭いから嫌だ」


「うっせ!さっさと乗れ!夕方から仕事なんだからちょっとは休めバカ」



どうやら俺の体に気を使っているようだった。

よく考えると、ハルの運転する車に乗るのは初めてだった。


「飲む?」


ハルはここに来るまでに飲んできたであろうチルドカップコーヒーを俺に渡した。

ストローだけど、俺が口をつけていいものか。


…ハルの事だからそんな事気にしていないだろう。

ちょっとドキドキしながら
俺はそれを飲んだ。

相手はハルだから、そんなドキドキする必要なんてないのだが…


「あ、そうそう、ハル風邪ひいてるんだった」


「ちょ、飲んじゃったよ!風邪移るじゃん!」


「ははは、トラップにひっかかりよったな!」



ストローに口をつけていいか悩んで
ちょっとだけドキドキしていた数秒前の自分を恥じた。
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