何度でも言おう、君が好きだと。
「しかも綾な、そのすぐ後に妊娠して若林と学生結婚したんだよ」
「えええええ!!!!!!!」
大声出すなって言っただろ、と言おうと思ったが
当時俺も情けない程の大声を出して驚いたのを思い出し
これが普通の反応か、と言葉を飲み込んだ。
「滝超バカじゃん!」
「いや俺かよ!」
「だって、なんで気付かないの?
なんで付き合ってたの気付かなかったの?
いつも一緒にいたのに!
そんで惚れちゃって超バカじゃん!」
「そうだよなぁ、バカだよなぁ…」
思わず綾の笑顔が頭をよぎった。
あの笑顔は、俺に向けられていたのだと一瞬でも思っていた。
あの時もその時も、ずっと若林と付き合ってたんだもんなぁ。
なんで気付かなかったんだろう。
もしかしたら、もしかしたら、俺の事が好きなのかもしれない。
そう思っていたからか。
なんで真実を見る事が、真実に気付く事が出来なかったんだろう。