寂しがりやの猫
「お久しぶりです!」

相変わらずの田村のコミカルな顔なのに、私は 何故かドキドキしてしまった。

「久しぶり~。元気だった?」

なるべく 平静を装って言う。

「どうしますか?先にお参りして ご飯食べますか? お腹空いてるなら 先にご飯にしますか?」


「田村は?お腹空いてないの?」


「あ、俺は 平気です。 なんか… 」

「なに?具合でも悪い?」


田村が急に胸の辺りを押さえたので ちょっと気になった。

「すいません、ちょっと 胸がいっぱいで」

「は…?」


― 何?何言ってんの?


「中河原さんに会えて嬉しくて」


「あ、アハハハ…!」

ばか、と言って田村の背中をバシバシ叩いた。

全く、コイツって… 本当に… 大好き!


私は 幸せな気持ちで田村と神社に向かった。
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