寂しがりやの猫
タクシーの窓から夜の街を眺めた。

同世代の社長と話して、自分の年齢が急に重たく感じていた。

社長のように、がむしゃらに仕事をしてきて、婚期を逃してしまった訳でもなく。

ただ 流されるままに歳を重ねるうち、いつの間にか周りはみんな家庭を持っていた。

急に寂しくなって、思わず田村に電話をしてしまった。

『もしもし?奈都さん?どうしたんですか?平日に電話なんて珍しいですね』

「ごめんね、今 大丈夫?」


『はい。今 真壁達と呑んで帰るとこです』

「あ、そうなんだ」

『逢いますか?』

「え… でも 疲れてるよね…」

『また そうやって意地を張る』

「ごめん… 逢いたい」

『わかりました。マンション行きますから』
「待ってる」


田村と話しているうちにマンションに到着した。

タクシーの運転手に礼を言い、車を降りる。

気がつくと小走りになっていた。

早く帰って田村の為に何か作っておこう。
お風呂も洗っておかなくちゃ…

それから…

急に気持ちが明るくなっていた。

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