寂しがりやの猫
「ごめんね、急に逢いたがったりして」

ソファで田村の肩に頭を預ける。

「大丈夫ですよ。俺も逢いたかったです」

ゆっくりと髪を撫でられて、段々と気持ちが安らぐ。

田村は 魔法のように私の固まった気持ちを溶かしてくれる。

「奈都さん」

「ん」

「大丈夫ですか?俺が留学してる間、待ってられますか?」

「……」

自信が無かった。 寂しくて どうにかなってしまうんじゃないかと思っていた。

「…一緒に来ますか?」

「え!」

私は 驚いて田村の肩から頭を外し、顔を見た。


「1年だけだし。お金は、なんとかなると思います」


私は ブンブンと首を振った。

「だめだめだめ!そんなの絶対にだめ!」

田村は クスクスと笑いながら また私の頭をぐっと引き寄せた。
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