寂しがりやの猫
「好きなんだ」

「え…」

「初めて面接で中河原さんを見た時から、実は気になってた。

運命の出逢いじゃないかって思ったよ」

社長は 私の腕を引き、優しく抱き寄せる。

「結婚を前提に付き合って貰えませんか」


「あ、あの…えっと…」

今まで 何度も男の人に口説かれたが、結婚を申し込まれたのは、初めてだった。

頭が真っ白になる。

「考えさせて下さい」

そっと社長の腕を外して、頭を下げ、駅に向かった。
< 186 / 214 >

この作品をシェア

pagetop