寂しがりやの猫
パソコン作業を一段落させて、うん…と伸びをすると、隣の課の市川と バチ…っと視線があった。


― あ、忘れてた、市川のこと。

ちょっと文句のひとつも言ってやりたかった。

すると 市川のほうが立ち上がり、こちらに歩いて来た。


「あの 中河原さん」

「はい」


「今日の夜 飲みに行きませんか?」


「は?」

―何? 何言ってんの?コイツ。あんな失礼な電話しといて 飲みに行こうなんてよく言えるよね!

私は ムカついて 市川をジロと睨む。

「あんたね、いくら私がオバサンだからって 女性の誘い方 勘違いしてるんじゃないの?あんな電話かけてきてよく言えるわね」


私は わざと 結城にも聞こえるように言う。

市川は 一瞬で 耳まで真っ赤になり 慌ててその場を去って行った。

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