寂しがりやの猫
事件
それから…一週間ほど経ち、 結城が、今日は 合コンに行くんです、と 嬉しそうに話していて、私も姉のような気持ちで 頑張ってね、と言っていた日。


帰りがけに 結城が課長から呼ばれ、来週の会議に使うから 今日中に資料を探しておくように言われたようだった。

え…、と困っている結城を見て、黙っていられずに席を立つ。


「課長、千里ちゃんは 今日 デートなんですよー。私、暇なんで 私で良ければ 探しますけど」


「え!中河原さん、そんな…」

結城が 慌てて 自分がやります!と言っている。


課長は もうどっちでもいいから 探しといてくれ、と言って 立ち去って行った。



「いいから 合コン 行っておいで。私、ほんとに暇だし、ちゃんと残業手当付けて貰うから」

結城にピースをして 無理矢理に帰り支度をさせる。

「すいません、ありがとうございます!」

ペコペコと頭を下げて 結城は 帰って行った。


「さて、と…」

課長の欲しがっている資料を見ると ここ10年ほどの売上記録のようで、おそらく資料室に籠って探さないとならないだろう。

― ま、暇だしいっか。と 自分を励まして 資料室に向かった。
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