寂しがりやの猫
地下の資料室には 滅多に行くことが無く、人気が無いので 夕方行くのは ちょっと不気味だった。
…全く こんなの早く業者に頼んで、パソコンに入力してデータ化しないと これから困るでしょー と 思いながら資料室に入った。

ちょっと気味が悪いのでドアを大きく開け放つ。


部屋の電気をつけると ちょっと気分がマシになった。

資料室は 図書室のようになっていて、年代順にファイルが並べられている。

奥のほうから10年前の資料を探し出し、うちの課の売上を机で調べている時だった。

…バタン… と 静かにドアが閉まる音がして 私は 顔を上げる。

「え… 市川くん…?」

真っ赤な顔をした市川がドアの前に立っていた。
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