寂しがりやの猫
「何やってんだよ!市川!」

―田村の声だ。

市川は、ハッと我に返り 私を離すと田村を押し退けてバタバタと出て行ってしまった。


「大丈夫ですか?中河原さん」

田村は 私に手を貸してくれ、椅子に座らせてくれた。

「課長に 中河原さんが資料探ししてるから 手伝ってやってくれって言われたんで」

「…ありがと…」

私は 髪型と服の乱れを直し ちょっと落ち着いた。


「中河原さんは 隙が有りすぎですよ。ちゃんと自覚して下さい」

「な、何よ… こっちは 被害者なのに 説教する気?」


「説教って…。そうじゃなくて、中河原さんは 自分が思ってるよりずっと弱いし、男から見ると危なっかしいってことです」

田村に言われ、恥ずかしくなって下を向いた。

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